こんにちは、ハレルヤです。
世間一般にはあまり知られていない仕事内容の、「手術の立会い」をご存知だろうか?
医療機器の業界では当たり前のように行われている仕事の一つである。
一般的な物やサービスの営業と大きく違う、医療機器ならではの仕事内容がこの「手術の立会い」だ。
検査機器などの医療機器ではなく、手術支援機器の場合は必ず手術の立会いが必要となる。
この手術の立会いは実際に手術現場に入るのだが、知らない人にとっては、
- 手術に立ち会うって、いったい何するの?
- 血が苦手だったり、グロいのがダメな人でも大丈夫?
- 医師や看護師でものないのに、何かあった時の責任はどうなるの?
などなど多くの疑問が出てくるかもしれない。
そこで、医療機器の営業の仕事の中でも大きな役割を占めるこの手術の立会いが、
いったいどんなものなのかを詳しく話したいと思う。
何のために手術の立会いを行うのか。
医療機器メーカーの営業として働き始めて、始めて医師に自社製品を使用してもらえることになった。
いわゆる受注ということだが、「はい、ありがとうございました。」で終わらないのが医療機器だ。
手術支援機器の営業の場合、それを実際に医師が手術で使用する際にその手助けをする必要がある。
というのも、医師は医療機器の使い方を覚えようとしない。
何百何千も同じ手術をして経験豊富な医師は別だが、
特に初採用の医療機器を使用する際は使い方などよくわからずに手術に臨むのだ。
「そんなんで手術しちゃっていいの??」
と思われるかもしれないが、手術をしちゃうのである。
慎重で勉強熱心な医師はしっかりと使い方など覚えて臨む人ももちろんいる。
しかし、医師は普段から様々な業務に追われていて、使い方をしっかり覚える時間など無いというのが現実だ。
また、手術現場で医師と必ず一緒に登場するのが看護師だ。
看護師は医師の手術の支援をするのだが、もちろん使用する医療機器を医師に手渡ししたりセッティングをしたりする。
この看護師ももちろん使用する医療機器の勉強をしてから臨むのが望ましいが、
医師同様に時間をとってゆっくり勉強している時間などなかなかない。
したがって、初めて使用する医療機器の手術には、
その医療機器メーカーの営業マンが手術に立会い、使い方を説明しながら進めていくのだ。
もちろん、手術がぶっつけ本番ということでなく、
事前にその機器のデモンストレーションを医師と共に行う。
実際に触ってシュミレーションをしてもらった上で、イメージを持ってもらいオペに臨むが、
全てを覚えている訳ではないので営業マンが立会いして手術中に説明する必要があるのだ。
また看護師に対しても同様だ。
事前に勉強会などを開いて説明をするが、そんな短時間で覚えられるはずがない。
看護師は医師に医療機器を渡す前のセッティングなどを行う必要があるが、
本番に忘れてしまって使えませんというわけにはいかない。
したがって、医師や看護師に対して手術中に使い方を説明したり、
何かトラブルがあった際にその対処法をその場で伝えたりするために、
始めてその医療機器を使用する手術などは特に立会いが必要になる。
医師や看護師を手術中に助ける仕事、それが手術の立会いである。
それでは続いて、手術の立会いに向いていない人の話をしよう。
血が苦手、グロいのが苦手な人はできるの?
はっきり言って、極度に血やグロテスクなものが苦手な人にとって手術の立会いは難しい。
過去に同僚で一人、実際に立会いをしてみたら血が無理で辞めてしまった人もいた。
そういった人には医療機器の営業は絶対にできないのか?
いや、必ずしもそうではないと僕は考えている。
解決策の一つは、出血が多いまたはグロテスクな外科的手術に関連する医療機器を選ばないということ。
医療機器のメーカーによってはMRIやCTなど検査機器を販売しているところもあるので、
あえて外科的な手術支援機器を販売するところに行かないのも手だ。
もう一つは解決策ではないが、慣れてしまうことだ。
当初あまり血が得意でなかったが、毎日のように見ていたら慣れてしまったという人は多い。
また、これは個人的な主観ではあるが、手術を受ける患者の全身は布に覆われており手術をする部位だけが見えているため、「人」であるという認識が薄れる。
分かりづらいかもしれないが、例えば頭の手術をするとしよう。
手術を受ける部位、つまりメスを入れる部位以外の部分は布で覆われてしまっている。
したがって、メスを入れる部分は頭のどの部分なのかも分かりづらいし、
人というよりむしろ物にメスを入れているようにも見えるということだ。
以上の解決策もしくは慣れによって、血やグロテスクなのが苦手な人が必ずしも医療機器の営業ができない訳ではない。
どうしても出来なかった、という人の方が圧倒的に少数派であることは間違いない。
手術で何かトラブルがあった時の責任はどうなるのか?
当たり前のように手術の立会いの話をしてきたが、
万一医師が医療機器の使い方を間違えるなどのトラブルあった場合の責任はどうなるのか?
最初に言っておくと手術で何かあった場合の責任はすべて医師にある。
こちらが責任を負うことは一切ない。
しかし、こちらがウソや誤ったことを言ってしまいトラブルが起きた場合は、
こちらの責任を問われる可能性もゼロでは無い。
または明らかに良しとされないNGなことを医師に故意にさせたなどの場合も、
責任の所在がこちらに来る可能性も否定できない。
とは言ってもトラブルがあって責任をこちらに押し付けられ患者に訴えられる、
というようなことは未だかつて周りでも経験したことはない。
過去の事例としてゼロではないかもしれないが、そのあたりは企業の研修でしっかり学ぶので、
よっぽど悪意があって悪い人間でなければ心配する必要はないだろう。
また医療機器の不具合などでトラブルが起こったとしても、
それは企業側の責任となるので営業個人に責任の所在がある訳ではないので安心してほしい。
患者を救うための手術に立会い、医療機器の説明をするというのは非常に責任の重い仕事であることは間違いない。
しかしその分やりがいも大きいことは事実である。
まとめ
医療機器の営業に必ずと言っていいほど必要な仕事「手術の立会い」について、
イメージはついただろうか。
医療に全く携わっていない人にとって、
仕事で手術室に入れてしまうことに最初はとても違和感を感じるかもしれない。
とても不思議な感覚だ。
しかし、慣れてしまうと逆に特別な気持ちにもなれる。
医師でも看護師でもない自分が、医療の最前線で医療に貢献しているのだ。
手術はチームで行うと言っても過言ではないのだが、
自分もそのチームの一員になれる仕事が医療機器の営業だ。
医師や看護師に頼られる場面は少なくない。
そんなやりがいのある仕事に、是非チャレンジしてほしいと思う。
最後に、僕のオススメする外資系医療機器メーカーについて書いた記事も共有しておく。
医療業界では有名なのだが、一般的にはほとんど知られていない会社ばかりだ。